キリングループの商品に関する問い合わせ窓口である「お客様相談室」。
電話やメール、手紙、チャットボットなどを通じて1日約200件の質問が寄せられる。
「飲み切れずにあまったビールは捨てるしかないですか?」
そんな質問に対しては「お料理に使えます」「ぬかみその隠し味にしてはいかがでしょう?」といった回答をすることもある。
配属されて4年目の女性Yさんは、対応するメンバー約20人のうちの1人。
主にアルコール飲料についての問い合わせを担当している。
心がけていることは「お客様の質問の背景に思いをはせる」ことだ。
何を不安に思っていて、どうして問い合わせに至ったのか。
聞かれたことに答えるだけでなく、質問の奥にあるものを意識している。
チームの合言葉は「ノールール」。
画一的な回答をそのまま伝えるのではなく、一人ひとりへの最適解を工夫しようというものだ。
茶色い瓶についての問い合わせ
今年2月、「瓶」についての問い合わせを受けた。
初めは清涼飲料の担当に来たが、送られてきた画像からアルコール関係の可能性があるとのことで引き継いだ。
メールにはこんな内容が書かれていた。
「海岸で貴社の昔の商品と思われる瓶を発見しました。販売時期や商品名についてご教授いただきたく、お問い合わせをさせていただきました」
ガラス片が波に削られて丸くなった「シーグラス」を探していて見つけたという小瓶。
特徴についても詳細が書かれていた。
・ビール瓶のような茶色い瓶
・高さ約13センチ、飲み口の直径約4センチ、底の直径約5.5センチ
・底にギザギザがある
・飲み口にはアルミと思われる銀色のスクリューキャップがある
・瓶の下から約2センチ上あたりにキリングループのシンボル「聖獣麒麟(きりん)」の立体加工がある
検索しても分からなかったため、メールを出したそうで、文末にはこう書かれていた。
「もし販売時期や商品名が分かれば、記念に大切に保管しようと思っています」
瓶の特徴は詳しく記されていたが、すぐに商品名を特定することはできなかった。
新商品や現行品はほぼ頭に入っているが、当てはまるものがない。
手元の資料を調べても該当する商品はない。
社内データベースを検索してもヒットしない。
一通り調べた後とった行動は…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル